時効は2年
給付を受ける権利の時効
健康保険の給付を受ける権利は、2年で時効となります。民法では、一般の債権の消滅時効は10年ですが、健康保険では比較的短期間で時効が成立します。なお、現物給付には時効の問題は生じないため、現金給付だけが該当します。
たとえば、出産育児一時金について手続きを忘れていると、2年たったときに時効となり、権利がなくなってしまいますので、ご注意ください。
時効の起算日は、たとえば傷病手当金の場合は、仕事につけないという事実があれば請求できるので、仕事につけなかった日ごとにその翌日から時効は進行し、療養費については費用を支払った翌日から進行します。
2年で時効 |
|
---|
未支給の保険給付
傷病手当金、療養費、出産育児一時金など金銭で支給される保険給付で、受給者が死亡したときにまだ受けとっていないものについては、民法上の遺産相続人が請求して受けることができます。この場合は、保険給付の種類に応じて、それぞれの請求書を健康保険組合に提出します。
受給権保護
健康保険の給付を受ける権利は、公法上の債権とされており、他人に譲り渡したり、担保にしたり、差し押さえたりすることはできません。また、租税その他の公課の対象とはされず、印紙税も免除されることになっており、戸籍事項の証明も、謄本、抄本の交付を受ける場合を除いて無償で行われることになっています。
不服の申し立て
健康保険の被保険者の資格、標準報酬、保険料の徴収、保険給付などについて健康保険組合の決定処分に不服がある場合は、健康保険組合に申し出て説明を受けてください。
それでもなお納得できない場合は、その決定の通知を受けとった日の翌日から3ヶ月以内に、地方厚生局に配置されている社会保険審査官に審査を請求することができます。
不服申し立てのできる人は、保険者の処分によって直接権利がおかされる人です。なお、審査を請求する方法は、口頭でも書面でもよいことになっており、審査をするための費用はいっさい必要としません。また、審査請求、再審査請求は裁判上の請求とみなされますので、請求した日から時効が中断することになります。